新年度に会社が確認しておきたい労務管理の注意点(2026.4.28)
★新年度は、給与計算・労働保険・社会保険・雇用契約書・社内規程を見直す大切な時期です。
特に令和8年度(2026年度)は、雇用保険料率、子ども・子育て支援金、育児・介護、女性活躍、障害者雇用、カスタマーハラスメント対策など、会社が確認すべき項目が複数あります。
1. 雇用契約書・労働条件通知書の確認
新年度に入社する従業員、契約更新を行う従業員については、労働条件通知書・雇用契約書の内容を確認しましょう。
特に、次の内容に変更がある場合は注意が必要です。
- 労働時間
- 勤務日数
- 賃金
- 手当
- 休日
- 契約期間
- 更新の有無・更新基準
- 就業場所・業務内容
パート・アルバイトの勤務日数や勤務時間が変わる場合、社会保険や雇用保険の加入要件にも影響することがあります。
2. 給与計算に関する保険料率の変更
令和8年度は、雇用保険料率が変更されています。
一般の事業では、令和8年度の雇用保険料率は 13.5/1,000、労働者負担は 5/1,000、事業主負担は 8.5/1,000 です。建設の事業では全体で 16.5/1,000 となっています。
また、協会けんぽでは、令和8年4月から子ども・子育て支援金制度が始まり、令和8年度の支援金率は 0.23% とされています。令和8年4月分、つまり5月納付分から追加されます。
神奈川県の協会けんぽについては、令和8年3月分、4月納付分から健康保険料率は 9.92%で据え置き、介護保険料率は 1.59%から1.62%へ引き上げ とされています。
対応策:
給与計算ソフトの料率設定を確認し、4月分・5月支給給与からの控除開始月を誤らないようにしましょう。特に、翌月控除の会社では「何月分の保険料を何月給与で控除するか」を確認しておくことが重要です。
3. 労働保険の年度更新の準備
労働保険の年度更新は、毎年必要な手続きです。
令和8年度の年度更新期間は、2026年6月1日(月)から7月10日(金)までです。
年度更新では、前年度に支払った賃金総額をもとに確定保険料を計算し、あわせて新年度の概算保険料を申告・納付します。
対応策:
4月から次の資料を整理しておくと、年度更新がスムーズです。
- 令和7年度中に支払った賃金台帳
- 役員・従業員・パート・アルバイトの区分
- 雇用保険加入者の確認
- 労災保険の対象賃金
- 建設業の場合は元請・下請・一括有期事業の資料
4. 社会保険の算定基礎届に向けた確認
社会保険の算定基礎届では、原則として4月・5月・6月に支払った報酬をもとに標準報酬月額を決定します。提出時期は例年7月1日から7月10日です。2026年版の実務解説でも、算定対象は4月・5月・6月に支払った報酬とされています。
対応策:
4月から6月に昇給、通勤手当の変更、固定手当の変更、残業代の増減がある場合は、算定基礎届や月額変更届に影響する可能性があります。
特に、新年度に給与改定を行う会社は、次の点を確認しておきましょう。
- 昇給月
- 固定手当の変更月
- 通勤手当の支給方法
- 月額変更届の対象になるか
- 算定基礎届との関係
5. 育児・介護休業規程の確認
育児・介護休業法は、令和7年4月1日から段階的に改正されています。厚生労働省は、育児のためのテレワーク等の導入の努力義務化や、短時間勤務制度の代替措置へのテレワーク等の追加などを案内しています。
対応策:
就業規則や育児・介護休業規程が古いままになっていないか確認しましょう。特に、子の看護等休暇、介護離職防止のための個別周知、育児期の柔軟な働き方に関する制度は、社内ルールを整えておく必要があります。
6. 女性活躍推進法の情報公表義務
令和8年4月1日施行の改正により、常時雇用する労働者が101人以上300人以下の事業主についても、男女間賃金差異が情報公表の必須項目となります。厚生労働省の資料では、101人から300人の企業について、男女間賃金差異、女性管理職比率等の公表義務が拡大されています。
対応策:
対象企業は、えるぼし認定の有無にかかわらず、自社の公表項目・公表時期・計算方法を確認しておきましょう。
7. 障害者雇用率の引き上げ
障害者の法定雇用率は、令和8年7月以降、民間企業で 2.7% に引き上げられます。令和8年6月以前は2.5%、令和8年7月以降は2.7%で算定することが示されています。
対応策:
対象となる会社は、現在の常用労働者数、障害者雇用数、短時間労働者の算定方法を確認しておきましょう。
8. カスタマーハラスメント対策の準備
令和8年10月1日から、カスタマーハラスメントや求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置が事業主の義務となります。厚生労働省は、令和7年6月11日に改正法が公布され、令和8年10月1日に施行されると公表しています。
対応策:
10月施行に向けて、早めに次の準備をしておくと安心です。
- カスタマーハラスメントに対する会社方針の明確化
- 相談窓口の設置
- 対応マニュアルの作成
- 従業員への周知
- 顧客対応時の記録方法の整備
まとめ
新年度は、入社・退職・契約更新・給与改定が重なり、労務管理上のミスが起こりやすい時期です。
特に令和8年度は、保険料率の変更や子ども・子育て支援金制度の開始、労働保険年度更新、算定基礎届、育児・介護、女性活躍、障害者雇用、カスタマーハラスメント対策など、会社が確認すべき事項が多くあります。
早めに確認を行い、必要に応じて就業規則・雇用契約書・給与計算設定・社内規程を見直しておきましょう。
